【ポエム】短いの2編

1
足りないものばかりを指折り数える
たった十個で指は尽き
握った両の拳を宙にさまよわせ
呆然と数える からっぽの私はひとつきり


2
よりどころのない人間だというのなら
それなりの生き方があろうに
鳥が飛ぶように境界を渡ることも
腹さえ満たせばあとは寝て暮らすことも
だれも憎まず生きるかわりに だれも愛さず生きることも