近所を散歩2

「近所を散歩1」の続き

 

木立を抜け、道幅はやや広くなり、そのまま住宅街の一角へと伸びている。

この先はもう何もないかな~と思いつつ、住宅の間の道をひょいと覗き込んでみると、アスファルトが袋小路になっている先に、剥き出しの土の道が延びていて、その右側を冬枯れの木立が並んでいる。

おお!雰囲気の良い道をまた発見!と、どう考えても近所の人しか通り抜けそうにない住宅の間をコソコソと(いや、なんとなく)通り抜けた。

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(冬枯れの木の雰囲気が好きだ。寂しさよりも、優しさを感じる)

左側はけっこう広い畑で、景色がすかーんと開けている。開けた先も住宅街だから風情はないが、むしろそんな住宅街のすぐ側に、散歩に最適な小道があるなんて素晴らしいじゃないか。道に覆い被さるようなこの木々、季節ごとに姿を変え、通行する人もさぞ飽きないことだろう。

遠目に見たときは、これも深さのないただの街路樹みたいなものだと思っていたが、以外にも奥がある、小さな林だった。手前の方は写真の通り杭があり、青い針金を渡してあったので中に入れないものだと思っていたら、途中からなくなって、人がよく通るのだろう、土と枯れ葉を踏みしめた道が奥へと続いていたので、せっかくだしお邪魔してみる。

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(林の入り口は二本の木の根っこが、ちょうどよく階段を作っていた。こういうのってワクワクするよね)

小さな林だが、その向こうは急激に土地が下がっているので、視界を遮るものがなく景色がいい。雰囲気抜群!決して広くないものの、迷子になりようがないから、方向音痴の私にはむしろ助かる。畑に囲まれて民家とちょっと距離があるおかげで、静けさも守られていた。

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(夕方四時前頃。冬の日はすでに傾いて、赤く染まろうとしていた)

静謐な空気を存分に味わう。

都内にも公園は多いし、「自然公園」と銘打った広く自然豊かな場所はあるが、どうも手入れが行き届きすぎていて、田舎者の私には物足りなかった。こういう、人が自然に踏み固めた道が通っていて、後は下草が生い茂っている風景を見て、やっと「自然の中にいる」という実感が持てる。

まあ私が生まれ育った高松(香川県)は、野っぱらと田んぼばっかりだったので、実はこういう大きな木がたくさん生えているところって、あまり入ったことがない。なので、歩いてこれる近所にこんな素敵な林があると思うと、胸が高鳴る。森や林を散歩する日々なんて、本の中でしか知らなかった。

たぶん、ご近所の人たちもよく散歩に訪れるのだろう。枯れ葉も土もしっかり踏まれて道がはっきりしているし、雨の後の柔らかい土の部分に、犬の足跡もあった。確かに、わんこの散歩にこれほど最適なところはない。

しかし私が小さな林の中を往復した20分程度の間には、誰ともすれ違わず、林の向こうの小道にも人の気配を感じることがなかったので、林の中を存分に散策し、愉しむことができた。

もう、毎週でも通ってきたいぐらいだ。敷物を持ってきて、しばらく林の中で座っていたい。そんなことを思いつつうっとりしながらも、だいぶ日が傾いてきたので、早めに帰途につく。

ストリートビューで見ていたところ以外にも素晴らしいお散歩ポイントを発見できて嬉しい一日だった。やっぱり引きこもってちゃ駄目だな。外にでないと見つけられないものがある。

所沢、夏には引っ越してしまうつもりだけれども、それまでに存分に味わっておこう。次はまた23区内に戻るつもりだし、こんな「人の手の入りすぎていない自然」が近所にあるような贅沢はないだろう。でもこの贅沢を知ってしまうと、剪定され、雑草が芝に置き換えられた人工の緑に我慢できる気がしないな…