中途半端な私が、いつの間にかエンジニアになってしまった件
とある記事につけた何気ないブコメが、思わぬ数のスターを貰ってしまって怯えている。
経験年数に応じて一般的に求められるスキルが身についてないままソフトウェアエンジニアとして生きている(いた)ことのつらみ|ぱん|note
事務の延長でExcelVBA書いてたんだけど、それを売りにして転職したらSEという肩書きがついてしまってビビってる。スキルが足りなさすぎて辛い。
2020/06/08 00:11
待って、私のブコメ、本筋から微妙にズレてる上に、ただの個人的な愚痴なんですが…。
みんなどういう気持ちで星つけてくれてるんだろ。「こんな奴がSEを名乗るとか舐めてんのか!」っていう怒りの星だろうか。ごめんなさい、すみません、求人票でも面接でも「仕事はSEだよ!」なんてこと一言も言われなかったんです。ゆるして。
元記事では経験年数からイメージされる一般的なスキルより、実際のスキルの方が劣っているのではないか、という話だが、私も4~5月に転職活動をしていて経験年数の件も含め、スキルを語る難しさを痛感した。そもそも自分のスキルとか経験を客観的に測る方法もわからなければ、測れたところでどう表現したらいいのかもわからない。特に私のような中途半端な経歴では。
私は大学(文学部)卒業後、お役所のバイト事務でExcelにうまいことハマり、勢いでVBAを独習した後、「Excelの得意な派遣さん」として派遣先を転々とした。VBAを使ってExcelで開けない大容量サイズのCSVの加工だとか、数値を入力して定型文を生成するツールの作成だとかをやっているうちに、データ処理・加工というマイナーな作業に楽しみを見出し、直近5年間はデータ分析の補助業務という名目で、SPSS Modelerというコードを書かなくてもGUIでデータがいじくれるソフトを使った仕事をしていた。
その過程でAccessのVBAも齧った。ネットで文法を確認しつつなら多少複雑なSQLも書ける。VBAでできない処理を補うためにコマンドプロンプトにも手を出した。前職でPythonの研修を受ける機会があったにも関わらず、他の人と足並みを揃えて学習するというのがどうしても苦痛でドロップアウトしてしまったのが悔やまれる…もう仕事で使うことはないかもしれないが、独習でリベンジしたい。
事務というには特殊だが、エンジニアやプログラマとはとても名乗れない。非常に中途半端な経歴だ。
転職にあたり、当初は前職と同じデータ分析のサポート業務(データクレンジングや加工、統計知識が不要な程度の集計みたいなの)を希望していたこともあり、一般事務ではなくエンジニア寄りの職務経歴書を作成しようとした。しかし、
社内SE(アプリ)の職務経歴書テンプレート 書き方とサンプル |転職ならdoda(デューダ)
この辺りを参考にしてみても、自分の経験にはそぐわない。成果物としてどーんと項目が埋められる開発をやったことがないからだ。
派遣社員時代に私が作ってきたExcel VBAのツールなんて、たかが知れている。1カ月もかけずに出来上がる小規模でささやかなものばかりだ。
データ分析の仕事をするようになってからは、エンジニアやデータサイエンティストの上司の下で仕事をするようになったが、単発の依頼が多く開発というほどの大仰な案件はなかった。そもそも使っていたModelerというソフトがコーディング不要で分析ができる上に、分析の成果物はレポートや帳票なので、エンジニアの仕事とはとても言えない…。(言い訳させてもらうと、たとえModeler使ってても、データの処理加工ってそれなりに専門的な知識や経験が必要とされる分野だと思う。SQLもPythonも暗記ですらすら書けるほど得意ではないけど、データの処理手順はパパっと頭に浮かぶから、あとはコードをネットで調べつつ書けばなんとかなる程度のスキルはあるつもりなんだ…)
途方に暮れて、事務とエンジニアの中間みたいな中途半端な職務経歴書を書いたのだが、成果物がない以上、スキルの指標として使えるものは経験年数しかない。しかしExcel VBA以外は半端に齧ったことしかない私には、どのスキルも微妙な経験年数しか書けなかった。
コマンドプロンプトなんて数カ月に一度しか使わなかったけど…その場合の経験年数って、実務に沿った時間の足し上げなのか、使い始めから現在までの経過年数書いちゃっていいのか…いやそれだと詐欺みたいじゃない? と散々苦悶したとも…。(結局コマンドプロンプトは職務経歴書に書かなかった。ちなみにSQLの実務経験を足し上げで書いた結果、転職エージェントに鼻で笑われました。ですよね~)
その程度の技量しかないくせにエンジニアの職務経歴書を使うからだ、と言われてしまえばそれまでだ。でも一般事務の職務経歴書では、どのような組織でどのような役割を果たしたか、に重点が置かれスキルは二の次の扱いになってしまう。データ分析周辺の仕事ができないなら、せめてExcel VBAやSQLを生かしたいという欲が捨てきれなかった。エンジニアを名乗れるほどのスキルも経験もないけど、ただの事務から自力でジリジリと身に着けてきたプログラミングの知識に未練があったのだ。
なんかこれ、スキルや経験をどう表現するかとかいう話じゃないな。半端なスキルしかない人間にまともな職務経歴が語れる訳がないという当然の話だ…。
まあこんな感じだったもので、当然ながら転職活動では見事に痛い目を見て、希望の仕事を見つけることはできなかった。
そしていろんなものを諦めたある日、ポンと目の前に現れた「Excel VBAができる人を探しています! SQLができるなら尚良し! 難しいことは求めません!」という都合のいい求人に飛びついて、かろうじて新しい仕事を始めている。
で、いざ新しい職場(お約束の客先常駐)に入ってみたらですよ。いきなり「〇〇さんの後任の…ええっと、新しいSEさんです」とか紹介されてびっくりしましたよ。いや~、仕事の内容の割に給料高いと思ってたわ。思わぬ展開に、二週間経った今でもまだ呆然としている。
幸い目の前にあるのは、私のスキルでもなんとかなる仕事ばかりだ。そして前任者が優秀な人で、開発資料をたっぷり残してくれているので、しばらくはそれを真似しつつ勉強できる。(なお支社工場の中の小さな事務所で、SEと呼ばれる人間は鯖管以外私だけという…何かあったら本社のSEが対応してくれるらしいけど、大丈夫かこの組織)。
それにしても転職活動で微妙すぎるスキルに絶望した直後、肩書だけとはいえエンジニアになってしまうとは。人生ってやつは皮肉が過ぎる。こうなったからには仕方がないから、せめて周囲の人に迷惑かけないよう仕事をこなしながら、ちょっとずつ本物のエンジニアになっていこう。